「2020年30%」の目標未達の今、本来の目的を改めて認識しよう~男女協働参画社会とは何か~
政府は「社会のあらゆる分野において、
2020年までに指導的地位に女性が占める割合を
少なくとも30%程度とする目標」を
2015年6月に定めました。
しかし、達成が困難なことから、
目標達成時期をを2020年7月、
「2020年代の可能なかぎり早期に」へと変更し、
先送りすることになりました。
(※1/※2)
国際比較上、低い女性管理職の割合
内閣府の最新の調査によれば、
女性管理職の割合は世界の国々と比較して
低い水準にあります。
更に会社の規模別、業種別に調べると、
女性管理職の分布には一定の傾向がみられます。
帝国データバンクの調査によると、
大規模よりは小規模希望の方が2倍もの差異をつけて
女性管理職の登用は進んでいます。
また、業種別では、小売、不動産、サービスが
相対的に女性管理職が存在する割合が高い傾向がみられます。
これらは従業員に女性が占める割合が高い業種です。
豊富な人材の中から優秀な人物を管理職として
昇格させていく様子がうかがわれます。
「共働き」世帯の働き方
管理職が少ない一つの要因に、
「パートタイム」で働く女性の割合が
高いことがあげられます。
共働き世帯数は1997年(平成9年)に、
男性雇用者と無職の妻から成る世帯数を上回わりました。
その差は年々拡大し2019年は、
共働き世帯数は、
男性雇用者と無職の妻からなる世帯数の
2倍以上になっています。
しかし、「共働き」の妻の就業時間を調べると、
パートタイムで働いている割合が
57%であり、
フルタイムで働いている割合
42%より多いことが分かります。
加えて、妻がフルタイムの共働き世帯数のピークは
1993年(平成5年)であり、
25年前の数値を未だ上回っていない点にも
注目すべきでしょう。
フルタイムから管理職を選ぶことが前提であった場合、
候補者の人数が少なく、管理職として適切な人物が
見当たらなかったことも想定されます。
目標達成の為には
前出の内閣府
「令和2年版 男女共同参画白書(概要)」の
特集は
『<特集>「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス』
でライフワークバランスの内容です。
帝国データバンクが企業に行ったアンケート調査でも
「女性の活躍促進のために重要なこと」の
上位3つは家事に係る項目です。
これらの項目の充足は女性従業員の増加を促し、
長期的には女性管理職が増える道筋になると考えられます。
また、パートタイムの中から
管理職を選ぶことができるように
制度変更するのであれば、
指導的役割を担う女性の候補者が増加し、
結果として女性管理職が増える可能性も考えられます。
男女共同参画社会の定義
男女共同参画社会とは、
「男女が、社会の対等な構成員として、
自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に
参画する機会が確保され、
もって男女が均等に
政治的、経済的、社会的及び
文化的利益を享受することができ、
かつ、共に責任を担うべき社会」
のことを指します。(男女共同参画社会基本法第2条)
指導的地位に占める女性の割合の数値目標を立てたり、
それに向けた具体的方策を練ることは否定しません。
しかし、目標が未達成となった今は、
その原因で何であったのかを
分析するタイミングであると考えられます。
今こそ、本来の目的である
政治的、社会的、文化的利益を享受するメリット等を
もっと広く訴求し、
目標の立て方そのものから考え直す時期と
いえるのではないでしょうか。
参考文献
※1内閣府のHP『「2020年30%」の目標の実現にむけて』
http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/pdf/2020_30_all.pdf
※2NHKのHP「指導的地位の男女比率 2030年代に同水準 政府が新目標」
ttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20200721/k10012526011000.html
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